大雪山系の水源地の権利を買いませんか」などと全国の高齢者らに架空の権利への出資を持ちかけ、多額の金をだまし取ったとして昨年、42人が詐欺容疑などで大阪府警に逮捕された事件では、出資した人に、営業実態のない「合同会社大雪山」の社員権が届けられていた。
また「社員権を購入すれば多額の利益が出る」などと偽って約1700万円を詐取したとして、山形県警が7月に男らを逮捕した事件でも、男らの合同会社に営業実態はなかった。
補助金の不正受給に悪用された例もある。
大阪府警が昨年8月、従業員が休んだと偽り、健康保険の傷病手当金をだまし取ったとして男女3人を逮捕した事件で、3人は実態のない合同会社を次々に設立し、不正受給を繰り返していたとされる。
捜査関係者らによると、詐欺グループはこれまで、休眠中の株式会社を30万〜40万円で買い取って詐欺行為に利用するのが一般的だったが、より安上がりな合同会社に徐々に移行しているとみられる。
会社法に詳しい野村修也弁護士は「合同会社は組織運営が自由で使い勝手の良い会社形態だが、その分、詐欺グループにも使いやすい。
不正が発覚すれば解散を命じるなどの事後規制が必要だ」と話している。
合同会社創業や産学連携促進を目的とする会社形態で、研究開発型のベンチャー企業などが活用するケースが多いが、09年にはスーパー「西友」が合同会社に組織変更した。
「社員」と呼ばれる出資者は、株式会社と同じく有限責任だが、取締役を置いたり、株主総会を開いたりする必要がない。
利益配分も出資比率に縛られず、決算公告の義務もない。
(2012年10月25日 読売新聞)
2012-10-25 14:40 (読売新聞)
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